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収益不動産の売却で気になる税金は?計算や節税ポイントも解説

収益不動産の売却

木下 純也

筆者 木下 純也

不動産キャリア36年

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収益不動産を売却するとき、「税金がどれくらいかかるのか」「どうしたら税負担を減らせるのか」と不安に感じる方は多いのではないでしょうか。不動産売却で発生する税金には、計算方法や税率、申告の時期など知っておくべきポイントが数多く存在します。この記事では、譲渡所得税のしくみや税率、必要経費の正しい計上方法、そして税金を軽減するための具体的な戦略、さらに確定申告の注意点まで丁寧に解説します。初めての方でも読み進めやすくまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。

譲渡所得税とは何かと税率の違い

譲渡所得税とは、不動産を売却して得た利益、すなわち譲渡益に対して課される税金です。不動産を売った価格から、不動産を取得した際にかかった取得費や、その売却に直接要した譲渡費用を差し引いた額が「譲渡所得」となります。計算式は「譲渡所得=売却価格-(取得費+譲渡費用)」となります。

譲渡所得税には、所有期間に応じて「短期譲渡所得」と「長期譲渡所得」の二つの区分があり、税率に大きな違いがあります。税務上の所有期間は実際に所有していた期間ではなく、売却した年の一月一日時点で五年を超えていたかどうかで判断します。たとえば取得から実際に五年以上経っていても、その売却年の一月一日が五年に達していなければ、短期譲渡所得として高い税率がかかります。

次の表にそれぞれの税率の違いをまとめます。

区分所有期間税率(所得税+住民税+復興特別所得税)
短期譲渡所得5年以下約39.63%(所得税30%、住民税9%、復興特別所得税含む)
長期譲渡所得5年超約20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税含む)

このように、所有期間が五年を超えるか否かで税率がおおよそ半分になります。そのため、不動産を売却する際には売却のタイミング調整が、税負担を低く抑えるうえで非常に大切です。税率の割合が二倍近く違うため、例えば譲渡利益が千万円であれば、短期の場合は約三九六万円、長期の場合は約二○三万円もの差が生じます。


取得費・譲渡費用の正しい計上方法

収益不動産を売却する際、譲渡所得税を正確かつ有利に計算するためには、取得費と譲渡費用を漏れなく計上することが重要です。その具体的な内訳を整理して、わかりやすくご説明いたします。

区分主な項目理由・ポイント
取得費(実額) 購入価格、仲介手数料、印紙税、登記費用、不動産取得税、リフォーム費用等 購入時に直接支払った費用として取得費に含められます
譲渡費用 売却時の仲介手数料、測量費、解体費、広告費、印紙税など 売却に直接関連する費用として譲渡費用に含まれます
概算取得費(5%ルール) 売却価格の5%(取得費が不明な場合の簡易算定) 実額が不明な場合に利用可能ですが、税負担が増す可能性あり

まず、取得費の実額として計上できる主な費用には、購入価格のほかに購入時の仲介手数料や印紙税、登録免許税、不動産取得税、さらにはリフォームや改良にかかった費用も含まれます。一つひとつを正しく整理することが、譲渡所得をできるだけ小さくするための基本です 。

次に、譲渡費用として認められる費用には、売却時の仲介手数料、測量費、建物解体費、売却広告費、さらには印紙税など、売却に直接結びつく費用が含まれます 。

一方、「取得費が分からない」「書類が残っていない」といった場合には、売却価格の5%を取得費とみなす「概算取得費(5%ルール)」を用いることが認められています。ただし、この方法を使うと、実際の取得費よりも大きく下回ることが多いため、譲渡所得が大きくなり、結果として税負担が増すリスクがあります 。

取得費が不明な場合でも、公的資料(固定資産税評価額や路線価など)を用いて合理的に推定することが可能です。このように実額に近い形で取得費を算出し、税負担を軽減する方が、長期的には効果的です 。

このように、取得費と譲渡費用については、「どこまで計上できるか」を明確にしつつ、可能な限り実額を用いることで、譲渡所得税の負担を抑えることが可能です。特に資料が散逸している場合でも、「推定」や「実額取得に近い方法」の検討をおすすめします。

税負担を軽減する実践的な戦略

収益不動産の売却にあたって、税負担を少しでも減らすには、いくつかの重要な戦略を理解しておくことが大切です。ここでは、所有期間の延長、減価償却の活用、複数物件売却時の損益通算や法人化による効果について、信頼できる情報に基づいてわかりやすく整理します。

戦略 内容 期待される効果
所有期間を5年以上に延ばす 短期譲渡(5年以内)を回避して長期譲渡の税率を適用 税率が約39%から約20%へ大幅減
減価償却の活用 保有中に建物の減価償却費を計上して取得費を圧縮 譲渡益を抑え、税負担の圧縮に寄与
複数物件売却・法人化 同一年内に複数物件を売却した際の損益通算や、法人による保有で経費計上の幅拡大 損失と利益を相殺できるほか、個人より低税率の適用可能性

まず、所有期間を5年以上に延ばすことは、最も基本的かつ強力な節税策です。短期譲渡では所得税・住民税合わせて約39%の税率が課されますが、一年延長して長期譲渡の対象になると、約20%に税率が下がり、その差は非常に大きくなります。例えば物件を6年保有すると、税負担が大きく減るのです 。

次に、減価償却の活用です。保有期間中に建物部分を法定耐用年数に基づいて減価償却することで、取得費を下げ、譲渡時の利益を抑える効果があります。これは「二重の節税」とも呼ばれ、特に保有中の所得税軽減と将来の譲渡所得の圧縮につながります 。ただし注意点として、あまりに償却を進めると帳簿価額が下がり、譲渡時に譲渡所得が膨らむ「出口税」が発生するリスクがあるため、計画的に償却を進める必要があります 。

さらに、複数物件を同一年に売却する場合の損益通算や、法人化による税率の違いも重要です。個人の場合、収益と損失は基本的に同じ譲渡所得内でしか相殺できませんが、法人であれば不動産売却益と他の事業所得を通算できます 。また、中小企業向けの法人税率(所得800万円以下で約15%前後)が適用されることもあり、個人の高い累進税率と比較して有利になるケースもあります 。

ただし、法人化には設立・維持コストや事務処理の負担が増える点を見逃せません。さらに、個人に認められている住宅ローン控除や居住用財産の特別控除(3000万円控除など)は、法人には適用外となります 。

加えて、最新の事例では、売却タイミングを調整しつつ賃貸に切り替えることで保有期間を延ばし、税率を大幅に低減させる戦略が紹介されています。例えば短期売却を予定していた区分マンションを、賃貸運用に切り替えて保有期間を6年とし、税率を39%から20%に下げ、譲渡所得1000万円あたり約190万円の節税を実現した実例があります 。

このように、税負担を軽減するには、「いつ売るか」「どう保有するか」「どのように保有形態を設定するか」を組み合わせた戦略的な判断が欠かせません。専門家との連携も視野に入れつつ、自社の保有状況や売却計画に照らして、より効果的な対策を検討されることをおすすめします。

確定申告と納税時期に関する注意点

収益用不動産の売却によって譲渡所得が発生した場合、所得税(譲渡所得税および復興特別所得税)と住民税に関して適切な申告と納税を行う必要があります。

まず、所得税と復興特別所得税については、「譲渡した年の翌年の2月16日から3月15日まで」の期間に確定申告を行い、その際に納付することになります。例えば、令和7年(2025年)に売却した場合は、令和8年(2026年)2月16日から3月15日の間に申告と納付を済ませる必要があります 。

住民税については、確定申告による所得情報を基に市区町村が税額を計算し、翌年6月以降に納税通知書が届きます。納付方法は、給与所得者の場合は特別徴収として給与から天引きされ、自営業者などは普通徴収で納付書による自己納付となります。普通徴収の場合、通常は年4回(例:6月・8月・10月・翌年1月)に分割して支払うことが可能です 。

税目納税時期ポイント
所得税(譲渡所得税+復興特別所得税)売却年の翌年2月16日〜3月15日確定申告と同時に納付。不備や遅れは延滞税・加算税の対象。
住民税売却年の翌年6月以降特別徴収は給与天引き、普通徴収は納付書による自己納付(年4回払い可)。
印紙税・登録免許税(付帯的税金)契約締結時・登記申請時印紙税は契約書貼付、登録免許税は登記時に納付。

次に、申告年度の選び方についてですが、譲渡の「決済日(引き渡し日)」を基準にするのが一般的ですが、「契約締結日」を基準に申告することも可能です。どちらを選ぶかによって申告年度が変わり、税率の違い(短期譲渡所得/長期譲渡所得の判定)に影響するため、状況に応じて慎重に判断することが重要です 。

最後に、税務署へ提出する際の書類管理についてですが、売買契約書、領収書(仲介手数料、測量費、解体費など)、登記関係書類や取得費の証明になる書類は確定申告・税務調査に備えてしっかり保管しておく必要があります 。特に取得費の証明書類を紛失した場合には、概算取得費(売却価格の5%)を適用できる制度もありますが、課税額が大きくなる傾向があるため、できる限り正確な書類を整えておくことが望まれます 。

まとめ

収益不動産の売却に伴う税金については、譲渡所得税の仕組みや税率、取得費や譲渡費用の正確な計上方法、税負担を軽減するための戦略、さらには確定申告と納税時期の注意点まで、幅広い知識が求められます。それぞれのポイントを理解することで、無駄な税負担を防ぎ、安心して資産運用を進めることが可能になります。正しい知識と事前準備が、ご自身の利益を最大化するための第一歩です。気になる点や手続きに不安がある方は、ぜひ専門家にご相談ください。

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